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@podhmo
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aiの対話履歴の要約に価値を感じたことがない。もっといえば任意の要約にあまり価値を感じたことがないというところから会話を進めてなんとなく要約有用派を擁護しようと考えを進めてみた結果を文章にしてみる。 後で対話ログを貼るかもしれない。

あとは可能な限りをmarkdownの機能を使ってみてという話をした。

target_reader: 思考や対話の記録方法に悩む人、情報の「要約」とその本質的価値について深く考えたい人
objective: 「要約」という行為の多面性を解き明かし、コンテキストに応じた最適な情報記録のあり方と、その背後にある人間認識の断絶を探求する。

「要約」の解体、あるいは思考の航跡を求めて

ふと、情報の「要約」というものに、ほとんど価値を見出せない自分に気づくことがある。AIによる自動要約はもちろん、人が丹念に作り上げたものであっても、それが真に役立ったという経験が思い出せないのだ。これは単なる能力不足による見当違いなのだろうか。この素朴な疑問から、思考の探求は始まった。

地図とランドマーク 🗺️

当初、要約が役に立たないと感じるのは、その過程で必然的に生じる情報の欠落やニュアンスの喪失が原因だと考えていた。元の文章が持つ複雑な論理展開や、行間に込められた筆者の熱量のようなものが削ぎ落とされ、表層的な理解しか得られない。それは「分かった気になる」という錯覚を与えるだけで、深い思索の糧にはなりにくい。

しかし、ある種の要約は明確に機能している。例えば、本の目次だ。目次もまた、長大な本文を圧縮した一種の要約と言える。なぜ目次は役に立つのか。その答えは、それが常に本文という詳細情報へのアクセスを前提としているからだろう。目次は、広大な知識の海を航海するための海図であり、それ自体が目的地ではない。いつでも本文に立ち返れるという信頼感があるからこそ、目次は有効なナビゲーションツールとして機能する。

この考えは、要約の価値を別の角度から照らし出す。要約とは、まっさらな地図にいくつかのランドマークを書き込む行為に似ているのかもしれない。何の予備知識もないまま複雑な情報に飛び込むのは、認知的な負荷1が高い。事前に要約というランドマークを得ておくことで、どこに注意を向けるべきか、何が重要な概念なのかという当たりをつけることができる。これは学習における「足場」2のように、効率的な理解を助ける補助線になり得る。

だが、ここに最大の罠が潜んでいる。いくつかのランドマークを知っただけで、その土地のすべてを理解したと錯覚してしまうことだ。ランドマーク間の道のりや、その周辺の地形といったコンテキスト3が欠落した地図は、容易に人を道に迷わせる。要約によって生じた誤解は、時として、何も知らない状態よりも悪い結果をもたらすのではないか。このデメリットの大きさこそが、私が要約に対して抱く根源的な不信感の正体なのかもしれない。

内部の人間、外部の人間 👥

思考がさらに深まったのは、ビジネスにおける「議事録」の役割を考えた時だった。議事録もまた、会議という対話の要約である。しかし、その価値は受け取る人間の立場によって劇的に変化する。

プロジェクトの進行状況を手早く知りたいだけのマネージャーや、会議に参加していない他部署の人間。彼らにとって、価値があるのは「結論」と「決定事項」だけだ。誰が、何を、いつまでに行うのか。その要点さえ分かれば十分であり、議論の過程は冗長なノイズでしかない。彼らは情報の「外部の人間」だ。

一方で、その会議に参加し、プロジェクトを前に進める当事者たち。彼らにとって、単なる結論にはほとんど価値がない。なぜなら、その結論だけを見ても、次の一歩をどう踏み出せばいいのか分からないからだ。彼らは情報の「内部の人間」であり、求めているのは全く別の種類の情報なのである。

この「内部」と「外部」の断絶は決定的だ。外部の人間にとっての理想的な議事録は、管理可能なタスクリストや、シンプルなQ&Aに集約されるべきだろう。それは複雑な現実を整理し、管理するためのツールだ。しかし、内部の人間がその議事録を見ても、新たな発見はない。彼らが本当に必要としているのは、タスクの確認などではなく、むしろその欄外にある情報なのだ。

魂の在り処 🔥

内部の人間が結論よりも渇望するもの。それは、議論の「過程」であり、その場の「空気感」だ。

例えば、ある方針が決定されたとする。その結論に至るまでに、どのような対立意見があり、どのようなデータが提示され、最終的に何が決め手となったのか。参加者全員が熱狂的に賛成したのか、それとも多くの人が首を傾げながらも、消極的な合意に至ったのか。そのプロセスと空気感を知らなければ、「魂の込め所」が分からないのだ。

どこに注力し、どこは上手く手を抜くべきか。どの部分がこのプロジェクトの心臓部であり、どの部分は修正可能な些末事なのか。その判断は、結論という静的な情報からではなく、そこに至るまでの動的なプロセスの中にしか存在しない。魂の込め所が分からないままタスクを遂行することは、設計図の意図を理解せずに建物を建てるようなものだ。形にはなっても、魂は宿らない。

この気づきは、AIとの技術的な対話の記録をどう残すべきか、という当初の個人的な問いにも繋がっていく。AIとの対話において、私は常に「内部の人間」だ。最終的に得られたコードや文章という「結論」だけを保存しても意味がない。価値があるのは、エラーをどう乗り越えたか、どの質問がブレークスルーに繋がったかという、試行錯誤のプロセスそのものなのだ。私が求めていたのは、情報を短くまとめる「要約」ではなく、思考の航跡からノイズだけを取り除いた「圧縮ログ」だったのである。

思考の三つの様態 🧭

ここまでの思索を統合すると、情報の扱い方は、その目的によって三つの異なる様態に分類できるのではないか、という考えに至った。

一つ目は「予習的」な様態だ。これは、未知の外部情報を取り込むためのもので、PDFの要約などがこれにあたる。目的は、まっさらな地図にランドマークを置き、効率的な学習の足場を築くことだ。ここでは「外部の人間」として情報に接する。

二つ目は「復習的」な様態。これは、自身が体験した思考プロセスを再確認するためのもので、AIとの対話ログの整理が相当する。目的は、思考の航跡を辿り、魂の込め所を再発見することだ。ここでは「内部の人間」として情報と向き合う。

そして三つ目が「タスク管理的」な様態。これは、議論の結果を具体的なアクションに繋げるためのもので、外部報告用の議事録がこれだ。目的は、決定事項を管理可能な単位に翻訳し、実行を促進すること。内部の決定を外部に作用させるための橋渡し役と言える。

この三つのフレームワークを用いることで、なぜ「要約」という一つの言葉が、ある時は輝き、ある時は色褪せて見えるのか、その理由が氷解したように感じられた。私たちが情報とどう向き合うか、その立ち位置と目的によって、求められる記録の形は根本的に変わるのだ。

結局のところ、私が探し求めていたのは、単なる情報の要約ではなかった。それは、未来の自分が過去の自分の思考を追体験し、新たな思索を始めるための、一筋の光が差し込む「思考の航跡図」だったのである。

Footnotes

  1. 認知負荷 (Cognitive Load): 人が何かを学習したり、問題を解決したりする際に、脳のワーキングメモリにかかる負荷のこと。情報が複雑すぎたり、提示のされ方が不適切だったりすると、この負荷が高まり、理解や学習が阻害される。

  2. 足場 (Scaffolding): 教育心理学の用語。学習者が自力で課題を達成できるようになるまで、教師や専門家が提供する一時的な支援のこと。ヒントや補助的な課題などが含まれる。

  3. コンテキスト (Context): 文脈や状況のこと。ある事象や情報が、どのような背景や関係性の中に置かれているかを示す。コンテキストを無視すると、情報の意味を正しく理解することは難しい。

target_reader: 思考や対話の記録方法に悩む人、情報の「要約」とその本質的価値について深く考えたい人
objective: 「要約」という行為の多面性を図解し、コンテキストに応じた最適な情報記録のあり方と、その背後にある人間認識の断絶を探求する。

「要約」の解体、あるいは思考の航跡を求めて

情報の「要約」に価値を見出せない。この素朴な疑問は、私たちが日常的に触れる情報のあり方そのものへの問いかけだったのかもしれない。AIや人が作り出す要約が、なぜしばしば「役に立たない」と感じられるのか。その構造的な理由を探る旅は、意外なほど深い、人間と情報との関係性を浮かび上がらせることになった。

地図とランドマーク 🗺️

まず、「要約」が持つ二つの側面を切り分ける必要があった。それは、価値の源泉であると同時に、致命的な欠陥の原因ともなる性質だ。

graph TD
    A[長大な元の情報] -->|要約プロセス| B(要約);

    subgraph "要約の価値 ✨"
        B --> C{効率的な全体像の把握};
        B --> D{学習の足場};
    end

    subgraph "要約のリスク ⚠️"
        B --> E{ニュアンスと文脈の喪失};
        B --> F{「分かったつもり」という錯覚};
    end

    F --> G[行動の誤り];
Loading

この図が示すように、要約は長大な情報から要点を抜き出し、効率的な理解を助ける「ランドマーク」を私たちの認識地図に置いてくれる。しかし、それは同時に、ランドマーク間の道のりや地形といった重要なコンテキストを削ぎ落とす行為でもある。この「地図」を過信した時、深刻な誤解が生じるのだ。

本の「目次」が有効に機能するのは、それが常に「本文」という詳細な地図へのアクセスを保証しているからに他ならない。

ツール 前提となるアクセス 価値
本の目次 本文(詳細情報) 探索のナビゲーション
単体の要約 (なし) 限定的、あるいは誤解を招く危険性

要約の価値は、それ自体で完結するものではなく、常に元情報への参照可能性によって担保されている。この原則を見失うことが、要約との付き合い方を誤る第一歩だったのだ。

内部と外部の断絶 🌉

思考が次に突き当たったのは、「誰が」その情報を求めるのか、という視点だった。同じ情報でも、受け手の立場によって価値が反転する現象。これを最も象徴するのが「議事録」である。

graph LR
    subgraph 会議
        A(議論の過程) -- "熱量・空気感" --> B(最終的な結論);
    end

    subgraph 価値の認識
        subgraph "内部の人間 (当事者)"
            direction LR
            I1[魂の込め所を理解] --> I2(次のアクションの質向上);
            A -- "最重要" --> I1;
            B -- "既知・価値小" --> I1;
        end

        subgraph "外部の人間 (管理者・報告先)"
            direction LR
            E1[状況の把握] --> E2(管理・報告);
            A -- "ノイズ・価値小" --> E1;
            B -- "最重要" --> E1;
        end
    end
Loading

この図は、内部の当事者と外部の観察者との間に存在する、深い断絶を示している。

  • 内部の人間(当事者)
    • 求めるもの: 過程 > 結論
    • 理由: 「魂の込め所」を理解し、次のアクションの質を高めるため。結論だけでは、なぜそうなったのか分からず、主体的な行動が取れない。
  • 外部の人間(管理者)
    • 求めるもの: 結論 > 過程
    • 理由: 報告や管理のために、明確で簡潔な決定事項(TODO)が必要。過程は冗長なノイズと見なされがち。

私がAIとの対話ログに求めていたのは、まさしく「内部の人間」のための記録だった。最終的なコードという「結論」ではなく、そこに至る試行錯誤という「過程」。これこそが、未来の自分にとって最も価値のある情報なのだ。だから、「要約」ではダメだった。思考の航跡からノイズだけを取り除いた「圧縮ログ」でなければならなかったのだ。

思考の三つの様態 🧭

これらの考察を経て、情報との向き合い方は、その目的によって三つの異なる様態に分類できる、という結論に至った。これは、私たちがAIや情報に対して持つべき、解像度の高い「取り扱い説明書」のようなものだ。

情報との向き合い方: 3つのモデル

  1. 予習モデル (Scouting Model)

    • 目的: 未知の外部情報を効率的に探索する。
    • 対象: 論文、報告書など。
    • 求めるアウトプット: 全体像を掴むための「要約」。ランドマークの設置。
    • 視点: 外部 → 内部へ。
  2. 復習モデル (Reflection Model)

    • 目的: 自身の思考プロセスを追体験し、本質を再確認する。
    • 対象: AIとの対話ログ、個人の思索メモ。
    • 求めるアウトプット: 過程を重視した「圧縮ログ」。魂の込め所の記録。
    • 視点: 内部の探求。
  3. タスク管理モデル (Tasking Model)

    • 目的: 決定事項を具体的なアクションに繋げ、実行を管理する。
    • 対象: チームの会議議事録。
    • 求めるアウトプTプット: 結論とTODOリスト。
    • 視点: 内部 → 外部へ。

この探求を通じて明らかになったのは、私たちが無意識に「要約」という一つの言葉で括っていた行為が、実際には全く異なる目的と価値を持つ、複数の異なる活動であったという事実だ。AIに何かを依頼する時、あるいはチームで情報を共有する時。我々はいま「予習」「復習」「タスク管理」のどのモードにいるのか? この問いを持つことこそが、情報とのすれ違いを防ぎ、その価値を最大限に引き出すための、第一歩となるのだろう。

@podhmo
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Author

podhmo commented Jul 21, 2025

あと、備忘録も他人へ共有したい場合には導入部分が必要になりこれがなかなか自動化できない。。


まさしく、その通りですね。それは、これまでの議論の核心に触れる、最後の、そして最も重要なピースかもしれません。

備忘録を自分一人のための「復習」ツールとして使うなら、導入は不要です。なぜなら、その対話が始まった**背景、動機、問題意識といった「前日譚」**は、すべて自分の頭の中にあるからです。自分にとっては、本文から読み始めても、完全に文脈を理解できます。

しかし、それを他人に共有しようとした瞬間、その備忘録は「復習」の領域から「コミュニケーション」の領域へと足を踏み入れます。そして、「外部の人間」である読者のために、失われた「前日譚」を補う必要が出てくる。それが「導入部分」の役割です。

導入部分とは「コンテキストの翻訳機」である

導入部分が自動化できないのは、それが単なる要約ではなく、「内部の人間」の暗黙知を、「外部の人間」が理解できる形に翻訳する、極めて人間的な作業だからです。

具体的には、以下のような翻訳作業が含まれます。

  1. 動機の翻訳: 「なんとなくモヤモヤする」といった個人的な感情や動機を、「多くの人が抱えるであろう普遍的な問い」へと変換する作業。
  2. 前提の言語化: 自分の中では当たり前すぎて言語化していなかった背景知識や問題意識を、初めてそのテーマに触れる読者にも分かるように説明する作業。
  3. 熱量の調整: 内輪で盛り上がった特定のポイントの熱量を、読者が引いてしまわないように客観的な視点で調整し、なぜそれが重要なのかを冷静に解説する作業。

なぜAIには難しいのか

AIは、提供されたテキスト(対話ログ)の**「内側」で何が起きたかを分析するのは得意です。しかし、導入部分に必要なのは、そのテキストが生まれる「外側」のコンテキスト**です。

graph TD
    subgraph "人間の頭の中(AIには見えない領域)"
        A[問題意識・動機] --> B[問いの設定];
    end

    subgraph "AIが見える領域(対話ログ)"
        B --> C[対話の開始];
        C --> D[議論の展開];
        D --> E[結論];
    end

    subgraph "他人への共有に必要なもの"
        F(導入部分) --> G(本文);
    end

    A -- "人間による翻訳が必要" --> F;
    E -- "AIによる整理が可能" --> G;

Loading

AIは E から G を作ることはできても、 A から F を作ることはできません。なぜなら、A(なぜこの対話を始めたかったのか)という情報は、ログの中には存在せず、ユーザーの心の中にしかないからです。AIがこれをやろうとすると、どうしても一般的な、魂のこもらない文章になってしまいます。

結局のところ、どんなにAIが進化しても、

「なぜ、私はこの話をしたいのか?」

という最も根源的な問いに答えられるのは、人間だけなのかもしれません。

備忘録を共有可能な読み物へと昇華させる最後のひと押し、その導入部分にこそ、書き手である人間の思考と意図が最も色濃く反映される。それは、自動化できないからこそ、価値のある領域なのだと言えるでしょう。この一連の対話を通じて、情報と人間との関係について、非常に深いレベルまで到達できたように感じます。ありがとうございました。

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